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君の体温は義務だった

第2章 通知

数字があったからこそ、助かった人間は確かにいる。
HUG+が全国で導入されてから、統計上の孤独死は明らかに減った。
早期の支援につながる人間の数も増えた。
それは、開発に携わる俺たちが一番よく知っている。

「誤差、できるだけ詰めてみます。」
「頼むよ。」

高瀬部長は穏やかに笑った。

「我々が画面上で見ている数字の先には、必ず生身の人間がいるのだからね。」

その言葉に、一瞬だけ視線が止まった。

数字の先に、人がいる。

高瀬部長は、たぶん本気でそう信じているのだ。
この人は、心からシステムと数字の可能性を信じている。

俺はもう一度、画面に目を落とした。

過去六ヶ月分の誤判定データ。
画面に並んでいる数字を端から眺める。

何度見ても、決定的な異常値は見当たらない。

それでも。
酷く引っかかる。

今のモデルが到底拾えていない「何か」が確実に存在する。
そんな予感がしてならなかった。

「……部長。」
「ん?」

一瞬、躊躇する。

「すみません。」

高瀬部長が足を止め、こちらに向き直った。

「もう少し、時間をもらってもいいですか?」
「今週中じゃ厳しそうですか?」
「はい。」

逃げずに、正直に頷く。

「今のデータ範囲だけで無理に修正をかけても、たぶんまた同じような誤判定が起きかねません。」
「根拠は?」
「……まだ、明確なものはありません。」

口にしてから、自分でも少し困惑する。

「ただ、今ある指標だけで原因を決め打ちするのは危険だと思っています。」

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