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君の体温は義務だった

第2章 通知

◇◇◇

午後。

コードレビューやら提出資料の確認やらを片付けているうちに、気付けば定時を少し過ぎていた。

PCの画面を閉じる。

「ふう……。」

椅子から立ち上がったところで、佐伯が声を掛けてきた。

「悠木さん。」
「ん?」
「お疲れさまでした。」
「ああ、お疲れ。」
「……その、朝の件。私、ああいうタイムスタンプのズレみたいなの、まだ見つけるの苦手で。」
「慣れれば勝手に分かるようになるよ。」
「悠木さんは一瞬で分かりますよね。」
「長くやってるからね。」
「それでも。」

佐伯は少しだけ恥ずかしそうに笑った。

「すごく頼りになります。じゃあ、お先に失礼します。」
「お疲れ。」

佐伯がエレベーターホールへ向かって歩いていく。
その背中を何となく見送った。

「……頼りになる、か。」

そう言われて、悪い気はしなかった。

「お疲れさまでーす。」

後ろから声が飛んでくる。

「お疲れ。」

振り返ると、同じチームの社員が手を上げていた。

「悠木さん、また明日。」
「うん。また明日。」

何人かの社員が帰路につく。
フロアからは、もうほとんど人がいなくなっていた。

高瀬部長にまた「余計な残業はするな」と注意される前に、俺も帰ることにした。

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