テキストサイズ

トラブルマーチ

第8章 別の顔

私に寄りかかる谷原はただそう返事を返して来た。

二人とも、ピクリとも動かず。
ソファーに座り、意味も無く再放送のドラマを見ていた。



少しすると、谷原が言い出した。



「帰ろうか。」



たんたんと言ったその声にすぐに返事を返せなかった。
『帰りたい』ずっとそう思ってたのに、何となくそう言えなかった。



「…聞いてた?」



そう言って私の顔を覗き込む谷原は、少しもさみしそうな表情では無かった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ