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トラブルマーチ

第2章 振った男

…足音がしなかったのは、彼の計算。
私の腕を掴んだ逆の手に、上履きを持っていたからだ。


私は足がすくんで動けないものの、力強握られた腕が痛くて振り払おうと手に力をいれた。

それでも平然に私の手を掴みながら、上履きを履き直した彼は私の腕をねじり上げて言った。



「俺の好意を踏みにじるのは、今回で終わりだ。」



ひどく冷たい目で見られて怖くなった。
睨みつけるとかそう言うのではなく…もっと…黒い感情が伝わる様な…。


私は引きずられるように、昇降口横の用具室に押し込まれた。真っ暗なそこに、谷原も入り鍵をかけられた。

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