光の輪の中の天使~My Godness番外編~
第2章 流れた歳月
悠理はおもしろそうに言った。
「へえ、俺の私生活に興味があるって?」
そこで、実里の顔がこわばったのを見て、肩をすくめた。
「どうも俺、あんたを見ると、からかってみたくなるっていうか、本音が言えなくなっちまうんだな。素直に本音が言えないから、余計に誤解されるんだろうけどね」
冗談だよ、冗談と言ってから、悠理は真顔になった。
「今は保育園で働いてるんだ。無認可の小さな保育所で、託児所をちょっとだけマシにしたようなとこだけど、園長も話の判る人で、俺みたいなホスト上がりを雇ってくれてね。別にこれまでのことについても深い詮索もされなかった。今じゃ、これでも保育士の見習いさ」
それで、小さな子どもの扱いが随分と手慣れていたのかと、実里は今更ながらに納得した。しかし、彼に指摘されたように、これでは、まるで自分が悠理の私生活を気にしていると思われても仕方ない。
「そうなの、さっきのあなたを見ていて、とても子どもの扱いに慣れているようだと思ったから、もう、お子さんがいるのかと思った」
馬鹿、何を言っているの、私は。
実里は自分を止めようとするが、何故か、止まらなかった。
そんな実里の胸中を知って知らずか、悠理は淡々と言った。
「俺には子どもはできないよ」
「え?」
実里は自分でも恥ずかしくなるくらい大きな声を出してしまい、慌てて手のひらで口を押さえた。
そろそろ長い夏の陽も暮れ始めてきたようだ。太陽が西の空の端を密色に染めている。
悠理は相変わらず前方を見つめていた。その先をたどれば、言わずと知れた理乃の姿があった。夕陽が地面を真っすぐに照らしだし、理乃はちょうど、ここからは光の渦に包まれているよう見える。
砂の山の隣には、砂の城が完成しつつあった。
「ああ、こんな言い方をすると、またおかしいよな」
悠理は眩しげに光の輪の中にいる理乃を眺めている。
「俺が今、一緒に暮らしている女―、もう籍入れてるから嫁さんなんだけど、そいつは子どもできないんだ」
「へえ、俺の私生活に興味があるって?」
そこで、実里の顔がこわばったのを見て、肩をすくめた。
「どうも俺、あんたを見ると、からかってみたくなるっていうか、本音が言えなくなっちまうんだな。素直に本音が言えないから、余計に誤解されるんだろうけどね」
冗談だよ、冗談と言ってから、悠理は真顔になった。
「今は保育園で働いてるんだ。無認可の小さな保育所で、託児所をちょっとだけマシにしたようなとこだけど、園長も話の判る人で、俺みたいなホスト上がりを雇ってくれてね。別にこれまでのことについても深い詮索もされなかった。今じゃ、これでも保育士の見習いさ」
それで、小さな子どもの扱いが随分と手慣れていたのかと、実里は今更ながらに納得した。しかし、彼に指摘されたように、これでは、まるで自分が悠理の私生活を気にしていると思われても仕方ない。
「そうなの、さっきのあなたを見ていて、とても子どもの扱いに慣れているようだと思ったから、もう、お子さんがいるのかと思った」
馬鹿、何を言っているの、私は。
実里は自分を止めようとするが、何故か、止まらなかった。
そんな実里の胸中を知って知らずか、悠理は淡々と言った。
「俺には子どもはできないよ」
「え?」
実里は自分でも恥ずかしくなるくらい大きな声を出してしまい、慌てて手のひらで口を押さえた。
そろそろ長い夏の陽も暮れ始めてきたようだ。太陽が西の空の端を密色に染めている。
悠理は相変わらず前方を見つめていた。その先をたどれば、言わずと知れた理乃の姿があった。夕陽が地面を真っすぐに照らしだし、理乃はちょうど、ここからは光の渦に包まれているよう見える。
砂の山の隣には、砂の城が完成しつつあった。
「ああ、こんな言い方をすると、またおかしいよな」
悠理は眩しげに光の輪の中にいる理乃を眺めている。
「俺が今、一緒に暮らしている女―、もう籍入れてるから嫁さんなんだけど、そいつは子どもできないんだ」