光の輪の中の天使~My Godness番外編~
第1章 出逢いはある日、突然に
「ああ、悪ィ。痛かったか?」
柊路は笑いながら理乃をまるで大切な宝物を扱うような慎重な手つきで降ろし、改めて悠理の方を見た。
柊路と悠理のまなざしが束の間ぶつかり、離れた。
柊路は公園の入り口から大またでこちらに向かって歩いてきた。見つめ合った一瞬、二人の男たちの間で無言のやりとりが交わされたのが判った。しかし、その内容まで実里に判るはずもない。
「おう」
柊路はあたかもつい昨日、何でもなく別れたばかりのように悠理に声をかけた。
「オッス」
悠理もまた、昨日の夜、肩をたたき合って別れた友のような態度で応じる。
「俺、ちょっと煙草でも買ってくるわ」
柊路は悠理をちらりと見て、実里に笑いかけた。そこでまた無言のやりとりが交わされたようだが、やはり、実里には二人の男たちが何を言い合ったのかは判らなかった。
「あ、待っ―」
実里が止めようとするまもなく、柊路はまた慌ただしく公園を出ていってしまった。
「パパ、また行っちゃった。つまんなーい」
理乃はむうと両の頬を膨らませた。
「パパはすぐに帰ってくるから、もう少し遊んでようね」
実里が優しく声をかけると、理乃は〝はぁーい〟と仕方なさそうに返事を返した。小さな後ろ姿がまた砂場に向かうのを見送っていると、小さな笑い声が聞こえた。
実里は驚いて眼前の男を見つめた。
悠理が笑っているところを見るのは初めてなのだ。
「あいつらしいな。あれで、気を利かせたつもりなんだ」
気を利かせる―? そのひと言がどうしても実里には理解できなかった。自分と悠理の間にある感情はむしろ憎悪とか恨み辛みといった負に近いものであるべきだ。それなのに、何故、柊路が気を利かして二人だけにする必要があるというのだろうか。
「元気そうだな」
唐突に言われ、実里は物想いから引き戻され、眼を見開いた。
「別にあんたが元気であろうがなかろうが、俺には関係ないから、構わないでくれって?」
悠理は実里の気持ちを代弁したつもりのようだ。悠理が自分に対してした仕打ちを考えれば、そう言ってやっても良いはずだった。だが、どうしても実里はそれができなかった。
柊路は笑いながら理乃をまるで大切な宝物を扱うような慎重な手つきで降ろし、改めて悠理の方を見た。
柊路と悠理のまなざしが束の間ぶつかり、離れた。
柊路は公園の入り口から大またでこちらに向かって歩いてきた。見つめ合った一瞬、二人の男たちの間で無言のやりとりが交わされたのが判った。しかし、その内容まで実里に判るはずもない。
「おう」
柊路はあたかもつい昨日、何でもなく別れたばかりのように悠理に声をかけた。
「オッス」
悠理もまた、昨日の夜、肩をたたき合って別れた友のような態度で応じる。
「俺、ちょっと煙草でも買ってくるわ」
柊路は悠理をちらりと見て、実里に笑いかけた。そこでまた無言のやりとりが交わされたようだが、やはり、実里には二人の男たちが何を言い合ったのかは判らなかった。
「あ、待っ―」
実里が止めようとするまもなく、柊路はまた慌ただしく公園を出ていってしまった。
「パパ、また行っちゃった。つまんなーい」
理乃はむうと両の頬を膨らませた。
「パパはすぐに帰ってくるから、もう少し遊んでようね」
実里が優しく声をかけると、理乃は〝はぁーい〟と仕方なさそうに返事を返した。小さな後ろ姿がまた砂場に向かうのを見送っていると、小さな笑い声が聞こえた。
実里は驚いて眼前の男を見つめた。
悠理が笑っているところを見るのは初めてなのだ。
「あいつらしいな。あれで、気を利かせたつもりなんだ」
気を利かせる―? そのひと言がどうしても実里には理解できなかった。自分と悠理の間にある感情はむしろ憎悪とか恨み辛みといった負に近いものであるべきだ。それなのに、何故、柊路が気を利かして二人だけにする必要があるというのだろうか。
「元気そうだな」
唐突に言われ、実里は物想いから引き戻され、眼を見開いた。
「別にあんたが元気であろうがなかろうが、俺には関係ないから、構わないでくれって?」
悠理は実里の気持ちを代弁したつもりのようだ。悠理が自分に対してした仕打ちを考えれば、そう言ってやっても良いはずだった。だが、どうしても実里はそれができなかった。