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《Eternal bells…… 》

第14章 長人

薄暗く霧が立ちこめる暁七ツ時、、


麗美は周りに藪が生い茂る小道であぐり達を待っていた、、、
少し離れた場所には栄太と玄瑞が気配を消して潜んでいる。


暗闇の向こうから、数人の人が急ぎ足で近づいて来る…


(来たっ!!)

「あぐりちゃん!」
麗美は咄嗟に走って行く、、、

「麗美さん!お別れに来てくれたんですか……?!」
抱きつき涙ぐむあぐり……

「麗美さん、お世話になりました。急なお別れになってしまい、申し訳ないです…」
愛次郎も二人の側に駆け寄る。


その時、、、


「ククッ…心配しなくても、3人一緒に逝かせてやるよ…長州の間者と、長人に囲われる女、殺す理由は充分だ」

佐伯は目をギラつかせ、狂気を浮かべ笑っている、、、



ージャリ ジャリ……
藪の中から佐伯の仲間らしき浪士が現れる、、、



「佐伯さん?!どういう事ですか?!
貴方も長州側だったはず……
それに何故、こんな事をっ!!」
愛次郎は取り乱し叫ぶ。


(愛次郎さんは間者だったの?!)


「ククッ…クククッ……俺は長州も幕府もどうでもいいんだよ。人を斬り、女を鳴かせて斬る快感が欲しいだけだ…」



(狂ってる……)


麗美はあぐりを震える手で抱き締める……
「二人の事は、俺が守ります!!」
ーチャキッ
愛次郎が刀を抜き、構える、、、

「ハハッ!お前一人で3人相手するか?」

ーチャキッ
佐伯達も刀を抜いた、、、



ージャリ…ジャ…
「その前に、僕達と遊んでくれんか?」

「長人なら顔隠す必要ないな。
久しぶりだな、佐伯……」

栄太と玄瑞が佐伯達の前に出てきた、、、


ー!!
「久坂!何故、お前がっ……?!」
狼狽える佐伯。

「俺の可愛い妹に手をだすとは……いい度胸しちょるな」

「玄瑞、佐伯は僕に斬らせてよ。こいつ気に入らんから」

「おなごの前だ、あんまり派手にやるなよ。佐々木、お前も一緒にやるぞ」


「はいっ!」


その場の男達から殺気が放たれる…


「麗美…、二人は目を瞑って耳を塞いどけ…」
優しい栄太からは想像つかない冷たい空気、、、

二人は少し離れ、後を向き耳を塞ぐ…


「うぁぁー!」
叫びながら佐伯は刀を振り上げる、
それを合図に斬り合いが始まった、、、

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