《Eternal bells…… 》
第16章 島原とカステラ
(翠蓮に幸せになって欲しい…。そうだ!)
麗美は座敷の角にある三味線を手に取る…
「おい、お前も三味線弾けるんか?」
「梅さん、見てなさい♪」
ニヤッと笑うと、目を閉じて深呼吸をする。
ベンベン……ベン…♪~♪~…
私は唄と三味線で奏でた……
吹けども傘に雪もつて
積もる思ひは…………♪~♪~♪
好きな人に想いを伝えられない…
恋に悩み、苦しむ唄…
(二人が結ばれますように…)
唄に目を閉じて聞き入る翠蓮…
玄瑞も酒を飲む手を止める…
目を細めゆっくりと飲む高杉…
カステラ片手にじっと麗美を見つめる栄太…
そして、、、
二階の廊下に佇み、曇り空を見上げる総司…
「切ない唄ですね……」
(雨が降りそうです……)
芹沢の暗殺…仲間を斬らなければならない…自分が芹沢を斬ると決めた。
そんな時に飲む気持ちになれない総司は雨が降り始めても、空を見上げていた…。
唄が終わり、栄太の側に戻る、、
ーコンコン
「すんまへん、凛花姉様。秋月様がいらしてます、よろしゅうたのます」
「すんまへん、うちは抜けます。
皆様はごゆるりと…。麗美様、素敵な唄でした。ありがとう」
涙を浮かべた翠蓮は、部屋を出て行った…。
「また、秋月か……」
苦しそうな顔をする玄瑞…