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《Eternal bells…… 》

第17章 君がため

何事も無くすんなり実現する筈は無い。
幕府側を説得するのは難しい…
再び攘夷派が入京すれば、確実に池田屋事変は起きる。全ての動きは止められないから…。

事変を起こさない事、有能な人達を失わない事。そうすれば、先は変わるかもしれない……。

ーーーーーー



晋作さん達が祇園に出かけた夜、、、

一階の一番端にある厠で、、

ーボソボソ…
小さい声が聞こえる…


(ん……?人の声?)
すぐ隣の空き家から聞こえて来る奇妙な声、、

気になった私は耳を澄ます…

「ハァ……クソッ!…ハァハァ……ハァハァ」
苦しそうな男の声。


苦しそうな声が気になって、裏口から空き家に近づく麗美、、

(幽霊だったら……な訳ないか…ドキドキ…
暗くて何も見えないよ…)

「…ハァ…クソッ……ハァ……い…痛てぇ……ハァハァハァ…」

(ケガしてる……?空き家に隠れてるって事は…敵ではない?…大丈夫かな…)


ーーーー




気になった私は、翌朝ぬるま湯と手拭いや包帯などを持って隣の空き家に裏から入った。

「……うぅ…ハァハァ……うぅ…」

土間の藁の上には、汚れて脚にケガをした若い男がうなされて、刀を抱えてうずくまっていた、、、


ー! !!
「大丈夫ですか?」
額に触れると高い熱…


脚を出してぬるま湯で傷口の周りを優しく洗い流す。


(刀傷?……これで熱が…)


薬と包帯で応急処置をして、
汚れた顔や手足も手拭いで拭く、、


「………うぅっ……誰じゃ…ハァハァ…」
うっすらと目を開けた青年は顔を歪める。


ーバシッ!
青年は手を振り払うが、麗美は怯まない。


「凄い熱です!応急処置はしたので早く診療所に『…触るな!…ハァハァ…』


(…困ったな……)

「待っていてください、旅籠で休める様にしてきます!」
立ち上がろうとすると、手首を強く掴まれた…

「…ハァ……ハァハァ…誰かに……ハァハァ言ったら…殺すき……」

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