テキストサイズ

《Eternal bells…… 》

第18章 すーさんとお菊さん

赤い提灯が地面の雪にほんのりと色を付ける、、、一軒の居酒屋、、、



今日もお菊は忙しく動き回る。


「お菊ちゃ~ん♪はよ、こっちに枝豆♪」
すーさんは今日も入り浸る。


(良く飽きずに毎日来るな…。ほとんど酒も飲まずにつまみばかり食べやがって…)


「はい、枝豆ですよ。すーさんはお酒はあんまり飲まないんですね?」


「やっと来てくれたな♪俺は酒やなく、お菊ちゃんに会いに来てんねん。そろそろ俺の愛を受け止めてくれへん?なぁ、ええやろ…?」

ーグイッ…

横に立つお菊の腕を引き寄せる。
お菊の背中に腕を回し密着すると、妖艶な顔で下から見上げた…。


(なっ!なんだこいつは!店じゃなかったら今すぐに殴りたい…でも、今はお菊だ…。我慢だ…我慢)


「なぁ、ええやろ…?俺、本気やで?お菊ちゃんと俺は似てる気がすんねん…」


中性的な美しい顔の男、すーさんは真顔になり切れ長で猫の様な綺麗な目で、熱くお菊を見つめた…


(!?////…い、いかん!)
あまりの美しさに一瞬見とれてしまう…


「そ、そんな口説いても、私は落ちませ……っん……」
ードックン…ドックン…ドックン…



急に心臓が動悸し始めたお菊…胸元をギュッと掴み顔から血の気が引いた…。


「……ハァッ……ハァッ…」

(…胸……が………っ…)


意識を失い崩れ落ちるお菊を、すーさんは焦って抱え込んだ。


「おい!!どうしたん?!お菊ちゃん!」

「お客はん?どうされました?」
女将が出てきた…

「お菊ちゃんが急に倒れてん!どないしよ?!」

「まぁ!!どうしまひょ?!お菊ちゃん!!」
女将が顔に手を添えるも、冷や汗をかいて苦しそうに顔を歪めて返事は無い。

「女将!お菊ちゃん連れて帰るで?今の時間やと医者探すん大変や。家わかるか?」

「家はどこか知らないんです……困ったなぁ。」

(どないしよ…屯所には連れて行かれへん、仕方ないな)


「わかった。俺が責任持って連れて帰るで。お代はつけといて!」
そう言うと、自分の羽織をお菊に掛けて抱き上げると、急いで店を出て行った…


(俺が助けてやる!もう少し我慢してくれな……)

ストーリーメニュー

TOPTOPへ