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《Eternal bells…… 》

第21章 純粋な狂気

五ツ半時(21時)



箱を抱え走る男…山崎丞は一軒の旅籠
へと急いでいた。


(沖田さんも人使い荒いなぁ…誰にも言うなって何があったんやろ?道具全部持って来いって無茶やん!)

「沖田さん、山崎や」

ースッ


「すいません、急な事頼んでしまって。
この娘を診て欲しいんです…」


丞は布団で眠る麗美の側に…

「この娘どうしたん?綺麗な顔に痣出来てしもて…だいぶ弱っとる。少し身体見
せてもらうで…」

(腹を強く打ったんちゃうか…?臓に損傷は無いやろうけど、暫く安静やな。衰弱しすぎや…)
手首に出来た傷を手当する…



「この娘が沖田さんの好いとる人か…?」

「…はい。…記憶を…無くしてしまったかもしれないんですっ。どうすれば…」

「記憶を無くしたやと…?まあ、この姿
見れば何があったか大体想像はつくけどな、相当怖い思いしたんちゃうか?一時的なもんやとええけど…戻るかはわから
へん。…今は傷を癒してやるのが一番や。
少し落ち着いたら、家に帰してやり」


「……わかりました…今日は屯所に帰り
ません。誤魔化しておいてくれませんか?」

「任せとき、明日も様子見に来るで。薬は食後に飲ませてくれな。ほな、俺は帰るな」




深く眠る麗美の隣で手を握る総司……


(…怖かったですよね…麗美さん…。
記憶は戻るんでしょうか…?あの人の
事も…忘れてしまったんですか?
思い出すまででもいいです、側に居さ
せてください…)

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