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《Eternal bells…… 》

第22章 夢の終わり

浅葱色の羽織を纏い、額に汗を滲ませている総司…
鋭い眼光には殺気を漂わせている…



二人は立ち上がり総司と向き合う…


「総ちゃん…私、帰りたい…」
麗美は正直な気持ちを言った…


「帰さないよ…それに、そいつにはこの場で死ぬか、捕らえられるか選んでもらうんだから…長人だからね」
口角を吊り上げ笑う総司…



「悪いが、麗美の前で刀を抜くつもり無いけぇ。僕たちがやり合うたらどうなるんかわかるじゃろ?」

瞳の奥に殺気を漂わせながらも、麗美には血を見せたくなかった…


「そんな事…しないで…」
二人が放つ空気に麗美は震える…




(こいつが居るから麗美は…)

本人に帰りたいと言われてしまった総司…
それでも現実を受け入れたくなかった…。



「やっぱり死んでもらうよ…
麗美も私が貰うっ!!」
ーチャキッ




その瞬間、総司は栄太に斬りかかった、、


鋭く光る刃が鞘から抜き出ると、そのまま栄太に向けて閃光の如く迫る、、


見切った栄太も刀を抜いた、、




その瞬間…



「麗美っ!!」


ーガチャッ
栄太は刀を手離す、、、







ーシュッッ!…
総司の刀が振り下ろされるのと、麗美が前に飛び出したのは同時だった…





静寂の中遠くに爆竹の音が聞こえる、、






右腕から血を流し、麗美を抱きかかえる栄太…


血の付いた刀を持ち立ち竦む総司…



着物が無惨に斬れた麗美の右肩からは、鮮やかな血が滲み出ていた…
栄太を護ろうと無意識に飛び出したのだった…





(私は…麗美…を……斬っ…た……)

咄嗟に刀を引いた総司…それでも避けきれなかった…
愛する人を斬った事実に総司は頭が真っ白になり動けない…


「だから言ったじゃろぉがぁ!!
お前だけは許さない!」
怒鳴ると総司を睨みつける…


「…はぁ…私…が悪…いの………っつぅ…
総…ちゃ……ごめ…なさい…っ…」
痛みに顔を歪めながら言う麗美…



「無理して喋らんでいい…。帰るよ麗美…」

刀を収め、麗美を大切そうに抱き上げ
て庭に出る…


「幕府と共にお前らも潰しちゃる…
楽しみにしちょれ…」

ダダダッ……



栄太が去り、麗美が居なくなった家…


一人立ち竦む足下にポタポタと滴が落ちた…

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