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《Eternal bells…… 》

第23章 いっくんの改心

ー!!
「桜香っ!どうしゆう?!」


以蔵が駆け寄ると、麗美は震えたまま
男を見て固まっている…

「嫌っ…やめて…やめて…」
酷く怯え始めた…


「…なんじゃ?」
ボロ侍はポカンとしている…


「何されたがじゃ?!おい!桜香!」
声をかけても麗美は怯えたまま…


ーガシッ!
以蔵は侍の胸ぐらを掴む…

「おまん、麗美に何したんじゃ…?」
鋭い目付きで侍に問いただす以蔵…











ードクドクドク…

あの時の恐怖が蘇る…
二人の男に犯され、暴力を振るわれた事…。

頭がぐるぐると回り、フラッシュバック
する映像…兄と唯の顔…叔母の笑顔と金の鈴…

(…あぁ…どう…し…て…)






ーバキッ!ドスッ!

「きゃぁ~!」
甘味屋の娘の悲鳴…




「おのれが…!おのれが麗美を!
…殺しちゃるが!」

ーバキッバキッ!


ボロ侍は、麗美を拐って会津に売ろうと
した長人の一人だった。長屋で仲間が斬られ
、麗美も消えていたため死んだと思っていたのである。それからは行く場所も無く隠れ続け、浮浪者になっていた…



以蔵は侍を殴り続ける…
周りには人だかりが出来始めていた…






(私は…なんて事を…)
麗美は全て思い出した…





ーチャキッ…
刀を抜いた以蔵…
顔面血塗れの侍の首に刃を向けた…



「大変や!人が斬られる!!」
野次馬の一人が叫んだ…



「死ね…」
怒りで我を忘れた以蔵…




刀を振り上げる…




ーガバッ…
「駄目っ!!」

侍を庇い、覆い被さったのは
麗美だった…。



「退け!そいつは生かして
おけんがよ!」
怒鳴る以蔵。



「もう充分!殺しちゃ駄目!
お願いだから…約束したでしょ…?」


「…グフッ…庇うな……もうええ…」
侍が呟いた…


「退くんじゃ!麗美!」


「嫌だ!退かない…
これ以上、刀を汚さないでよ…」



以蔵に気づいて欲しかった…
無抵抗な相手を斬るのは間違いだ
という事を…



「どうして…」
刀を降ろす以蔵…



「そいつ斬っても桜香の傷は消えねぇぞ!
放っておいてもくたばる…。
そんなグズを斬る為に剣術磨いたんか?」

野次馬の後ろから誰かが叫んだ。


ー?!!

(誰じゃ…?)

(……?!)

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