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《Eternal bells…… 》

第27章 居場所

いっくんは急に悲しそうな顔をした…

「どうしたの…?気分悪くなった?」


「麗美っこは…先を知りゆう…
先生…武市先生は…斬られゆうがか…?
…死んでしまうがか…?」
辛そうに声を詰まらせる…


ー!!!

「…大丈夫…っ…武市先生は今は上士
だから、断首刑にならないし死なない…」
ギュッと拳を握りしめる…


私は…嘘をついた…本当は…来年5月、
切腹に決まり…亡くなる…



ーガシッ!
麗美の両肩を掴んだ…

「本当の事をっ!本当の事を言うがよ!!
おいは…っ…もう先生には会えんがか?!
頼むき…嘘は言わんでくれ…っ」

以蔵の大きな瞳から涙が零れた…





ーガバッ…ギュッ…


麗美は以蔵を抱き締めた…
しがみつき、胸で泣く以蔵…
麗美の涙も以蔵の肩にぽたぽたと落ちる…


(…武市先生を助ける事は…出来ない
のだろうか…助けたい…いっくんに
会わせたいのに……私は…無力だ……)


今の現状で、、
武市半平太を救える術は何もない、、





暫く泣き続けた以蔵…

「…すまんのぉ…ズズッ…着物濡らして
しまったがじゃ…」


「ううん…気にしないで…ズズッ…」


ぎこちなく離れる二人…




(麗美は…おいの為に泣いてくれたんじゃ
……おいは…こいつの側に…居たい…。
先生の事は護れんかったけんど、こいつ
だけは…絶対に…)


「麗美っこ!もうすっきりしたぜよ!
だからそんな顔するなじゃ。美人が
台無しぜよ~♪栄太に笑われるき」
ーぷにぃ~
頬を引っ張る以蔵。


「痛いっ!…いっくんだって!
イケメン台無し~、それじゃあ嫁さん
もらえないし!…フン!」


「いけめんって何ぞね?食いもんかぇ?」


「教えない~♪さて、皆の部屋でも
掃除しようかな。いっくんはゆっくり
してて良いよ」
ニカッ♪



わざと以蔵を一人にした麗美…
今の以蔵にはその気遣いが嬉しかった。


その日の夕刻にはいつもの以蔵に戻り、
夜は晋作と飲んで騒いでいた、、

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