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《Eternal bells…… 》

第27章 居場所


ーパンッ!
翠蓮は栄太をひっぱたいた…

「なんであんな言い方したっ…!」


歯を食い縛り下を向く栄太…


「確かに麗美ちゃんの希望は聞く訳に
いかんが、あんな突き放す事はないだろ!
どうして帰れなんて言ったんだ?!」
と、玄瑞。

「きちんと理由を話しなさい!」
怒った桂。


「麗美は、家族に返さんといけん…
ここに居ては駄目なんじゃ…」
声を震わしながら言った…


「麗美の気持ちはどうなる?
なんで急にそうなったんだ?お前は麗美
を帰したくなかったはずだろ?」
と、晋作。


「僕は…麗美が帰れる手掛かりを
知っちょった…出会った時から…。
昨夜…夢で見たんだ…麗美が居なくなって
、家族が揉めちょった…それで…
お父上は倒れてしまった…」


「おい何だよそれ…手掛かりって…」
と、晋作。


初めて出会った夜、栄太は提灯を持たずに
歩いていた。そして急に刀が青白く光り、
その後、さまよう麗美を見つけた。
そして無意識に後を追ったのだった…。
昨夜も微かではあるが光った刀…それで
疑問が確信に変わった。
麗美を帰らせたくなかった栄太はずっと
隠していた…。


その事を皆に話した…


「それなら麗美ちゃんに、
そのまま話せば良かったのに!
どうして麗美ちゃんの気持ちは無視
するの?!そんなのただの押し付けだ!」
と、翠蓮。


「それだと、麗美は帰らんって言いよる!」
辛そうな栄太…


「なぁ…麗美が帰らないって決めたなら
それでいいんじゃねぇか?」
と、晋作。

「今帰らんと…お父上に二度と会えなく
なるかもしれんじゃろ…」


もしもこのまま父親が帰らぬ人になったら
…そう思い、わざと傷付け、直ぐに未来に
戻るように仕向けたのだった…。



「お前…刀はどうした?!!」
玄瑞は刀がいつもと違う事に気付く…


「麗美の部屋に置いてきた…」

栄太はそのまま立ち上がり、苦しそうな
顔で部屋を出て行った…。



ーー



「栄太の気持ちもわかるんだがな…
麗美さんは…帰ってしまうのか…?」
寂しそうに言う桂…。


「俺はそんなの嫌だ!止めに行く!
麗美は帰る気なんて無い筈だ!」

晋作が立ち上がった瞬間…




ダダダダッ…
ースパンッ!!

「麗美がおらんなった!部屋に入った
はずなのにおらんがよ!」

以蔵が飛び込んで来た…

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