テキストサイズ

《Eternal bells…… 》

第29章 それぞれの秘密事

すっかり暑くなった京の町、、


隣を歩く栄太は、今日は耳下で緩く髪を
結っている。いつも通り着流しをさらりと
着こなす栄太…久しぶりに手を繋いで歩け
て嬉しい…。



「最近新しい着物買ってないんじゃ
ないか…?買ってやる」


「へ…?ちょっと久輔~」

私はそのまま呉服屋さんに連行された…


「いらっしゃい。これは松里はん、
今日はお嬢はんのものをお求めで?」

「うん。振袖を見立てて欲しい」


「へぇ。かしこまりました…
さあ、こちらへどうぞ」


私は奥に通され寸法をとられました…



「じゃあ、後は頼んだよ」


「へぇ。最高なものにお仕立てします」


何が何だか分からない内に勝手に振袖を
注文した栄太…。


そして再び手を繋ぎ歩く、、


「ねぇ、私が初めて町に連れて来て
もらった時も、こうやって久輔が勝手
に決めちゃって着物買って貰ったよね。
覚えてる?」


「覚えとるよ。香と匂袋も買った時
の事でしょ?」


栄太はそう言って繋いだ手に力を入れて、
ギュッと握ってくれる…


(こうやって初めて手を繋いだのも、
その日だったな…暖かくて大きいこの
手…大好きなんだよね…)


「始めの頃は久輔冷たかったよね~。
冷たいと思えば優しくなったり…
今は最高に優しいけど///」


「僕はつんでれだから。
桜香は虐められるんが好きだろ…?」
と、意地悪な顔をして言う。


「う…///…別に…」

(栄太にされるのは好きだけど///)


「ふ~ん…ニヤッ…今日も旅籠には帰れん
からお預けだけどね」


「え~っ?!」

思わず本音が…


「クスッ…正直だね…良い事考えた…
そろそろ戻ろうか」


「あ!じゃあ皆にお団子買って行こう」



少しの時間、ただ町を二人で歩いただけ…
それでも、久しぶりの二人だけの外出
はデートみたいで凄く楽しかった。
栄太は常に気を張って周りの気配に
気をつけて歩いてるはず…
名前も隠さずに堂々と歩ける時が、
早く来るといいな、、

ストーリーメニュー

TOPTOPへ