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《Eternal bells…… 》

第30章 池田屋事変

夜九ツ時(24時)



長州藩邸ー


栄太は桂の部屋に向かっている…。

皆が集まり飲んでいる部屋を覗くと、
全員眠っていた…あの晋作や、桝屋を
留守にして来ている古高まで眠って
いる事に違和感を感じたのだった…。


ーコンコン

「桂さん…入るよ…?」


「……あぁ、栄太か…入りなさい」



ースッ


栄太が部屋に入ると、桂は腕を組み
部屋の真ん中に座っていた。


「桂さん…全員寝ちょるぞ…?
古高さんは帰らんで良いんか?」


「飲み過ぎたんだろう…」

古高の事に触れない桂…微かな表情の
変化を栄太は見逃さなかった。



「古高さんを起こして送って行くけぇ。
そのまま僕も旅籠に帰るから…」


「起こさなくていい…ゆっくり寝かせて
あげよう。栄太も今日はここで休みなさい。昨日あんな事があったばかりだ。
用心しなければいけない」


「だから旅籠に以蔵と麗美だけじゃ
心配なんじゃ…僕は今日は帰る」

栄太は立ち上がる…


「駄目だ!!今日は藩邸を出る事を許さん!」
思わず怒鳴ってしまった…



(やっぱり何かあるな…)

「桂さん…何を隠しちょるんだ…?
古高さんと大高さんまで藩邸に呼ば
なければいけない何かがあるんか?」
鋭い眼光で桂を見る…


「何もない!あってはならないんだっ…」

桂は麗美達が心配でならなかった…
許してしまったのは自分…
そして、栄太にまで隠している事が
辛くて仕方なかった…


「何もないなら、どうしてそんな
辛い顔をするんじゃ?!!嘘をつかん
でくれ…僕達にも言えんの…?」


「違う…!私が宮部さん達を止められ
なかったからいけないんだ!だから…
麗美さんがっ…済まない!栄太!…」

ーガバ!
桂は頭を下げた…



ー!!!

「え……麗美……が何を…?!
おい!!桂さん!麗美に何かあった
んかっ?!おい!桂さんっ!」

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