《Eternal bells…… 》
第30章 池田屋事変
暁七ツ時頃(4時)、、
まだ暗い中、通りを急ぐ浅葱色の羽織、、
桝屋の前に着くと周りを取り囲む…
その数は十数人…
そして…
ードンドンドン!ドンドンドン!
(来た!!)
私は羽織を着て部屋を出た…
一階に降りて行く間も激しく戸を叩く音…
気持ち悪くなる程の緊張と恐怖に
震える脚で入口に向かう…
裏通路に隠れる以蔵と新兵衛にも
緊張が走る…
目で合図をして二人は刀に手をかけた…
ードンドンドン!ドンドンドン…
(絶対大丈夫…)
私は鈴を胸の前でギュッと握り深呼吸
をする…そして懐に鈴を戻して覚悟を
決めた…。
「どなたですか…?」
「新選組だ。御用改めであるぞ!
今すぐここを開けよ!」
「ただ今…」
ーカタン…スゥー
「行け!!」
戸を開けた瞬間一気に飛び込む…
ードンッ
(痛っ!)
麗美を突き飛ばし一気に二階にかけ上がる
隊士達…
組長らしき眼鏡をかけた男は麗美の手を
引き立ち上がらせた。
「申し訳ない。貴方はここの主人の
奥方であるか?」
「そんな野暮な事聞くなんて失礼な方…
それより…新選組は、町民の家まで押し
入るんですか…?」
流し目で男を見つめる…
ー!!////
(これは…///)
色気に一瞬目が眩む…
「武田さん!二階には誰も居ません!」
隊士が二階から叫ぶ…
(この人が武田観柳斎……)
「何?!そんなはずは…」
二階からも逃げられない様に外にも見張り
が付いていた…。
「家中調べろ!何か証拠があるはず
だ!蔵も全てだ!」
「ちょっと!あの人が何をしたという
んです?!」
「主人は何処だ?二階に寝泊まりして
いた奴が居た事は調べがついている…
不逞な輩も出入りしていた様だな?」
「あの人は今、商売の事で大阪におります。
それに二階にお泊まりいただいた方は、
三上さんという方…。お名前しか知りませ
ん。あの人の反対を押しきって私が勝手
に泊めてたんですから」
「ふん…そんな嘘が通用するものか…
見知らぬ他人を泊めたとでも言うのか?」
「はい、そうですよ…六日で五十両と
言われて断る人が居ますか…?
でも、二日前に急に居なくなって
しまって…残りの三十両、新選組
さんが代わりに払って頂けますよね?」