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《Eternal bells…… 》

第31章 大切なモノを守る為…

次の日の暮れ六ツ時、、


私は蛤御門の変の事で重要な事を忘れて
いた…。長州藩邸に火を放たれて焼けて
無くなってしまう事…勿論その火が移って
周りにも被害が広がる。それを思い出した
私は今か今かと栄太達の帰りを店先で待っ
ていた。


その時、角を曲がって歩いて来る栄太を
見つけた…

パタパタ…

「久輔~!帰って来るの待ってた!」

ーガバッ…ギュッ


「ただいま。そんなに早く会いた
かったんか…?」
ーギュ~


道端で抱き合う二人は注目の的…
二人は周りは気にならないらしい…。




(あれ…?なんか甘い香りが…)

栄太の匂いとも、自分の匂いとも違う
甘い香りが栄太の胸元からほんのりと
香った…。

「久輔…寄り道しないで帰って来た…?」


「ん…?そうだけど…?」


(疑う訳じゃ無いけど…)

「なんか…女の人の匂いがする…」


「女の匂い…?あ、帰る途中、男に
殴られちょった女に助けを求めらた。
そん時に一瞬抱きつかれたけぇ、
多分それだ」

「……そっか。その人は大丈夫だったの?
殴るなんて酷いね…」


「単なる痴話喧嘩じゃけぇ、拳骨で
黙らせて来た」


(まさか栄太が浮気するはずないよね。
疑うなんて駄目だ…うん、信じる)

「久輔の拳骨痛そうだよね…昨日も
梅さんが…あ!それより話があるの!」


そして私達は手を繋いで桝屋に入った…




その二人の姿を少し離れた場所から
妬む様に見つめる一人の女…

(桝屋……確かあそこはこの前…)



妖しく微笑み細い路地に消えて行った、、

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