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《Eternal bells…… 》

第31章 大切なモノを守る為…

部屋を飛び出した麗美は廃墟の通りを
走って行く…そして角を曲がった…


ードンッ…

「きゃっ!」

誰かにぶつかり尻餅をついてしまった…


「大丈夫かぇ?すまんかったのぉ」

ぶつかった相手は手を差し出す…
その男は助五郎だった…。
差し出した手を取らずに下を向いたまま…
助五郎はしゃがんで顔を覗き込んだ。


(桜香?!……泣いちょるが…?!)

「桜香、どうした?なんでこんな所
におるがじゃ?何があった?」

手を引き立ち上がらせる…


「…ウゥッ…ウゥ~ッ…グスッ…」

何も言わずに泣き続ける麗美…



飛び出して来た通りは辻君が多い場所…
今朝、お咲の部屋から栄太が出て来て
いた…そして泣いている麗美…。

(松里の奴…ばれたな…馬鹿じゃの~
俺が慰めてやるか…)


「桜香、俺が話聞いちゃる。行くぜよ」


麗美の手を握り歩き始める助五郎…


力無くただ泣き続ける麗美は手を引かれ
着いて行く…何も考えられなかった…
ただ、さっき見た映像が頭の中をぐるぐる
回り、胸をギュウッと掴まれた様な痛み
しか感じない…。




助五郎は三本木へ向かった…
そして高そうな料亭に入る。


「おいでやす宮川様。お泊まりどすか?」

品格のある女将が出迎える…


「ああ、芸妓はいらん。一番良い酒を」

助五郎の実家は上士の中でも裕福だった…
だから金銭感覚がおかしいのだ…


「へぇ、さあこちらにどうぞ…」


女将に案内され座敷に通される…


座敷に入っても麗美の瞳からは静かに
涙が流れ続ける…。その痛々しい姿に、
助五郎はそっと麗美を抱き締めた…


「見てしまったんだろ…辛かったな…。
泣きたいだけ泣け…今日はずっと一緒
に居てやるき…」

背中をゆっくりと擦る…


今の麗美にとって、その温もりも、優しく
囁く低い声も…ひどく暖かく感じた。
『麗美が嫌な事は絶対しない、他の女は
一生抱かない』といつも言っていた栄太…
誰より信じていた人の裏切りを目の前で
見てしまった事は、心に深い深い傷を
作ってしまっていた…

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