《Eternal bells…… 》
第32章 色付き花火と垂れ花火
夜九ツ時(24時)、、
晋作さんも今日は帰れないらしい…向かい
の部屋に誰かが居ないだけで、今の私には
ひどく寂しく感じて…珍しく部屋で一人
お酒を飲んでいた。
(明日は…花火がある日…一年記念迎えられ
なかったな…栄太は行くのかな…あの人と…)
窓際で生温い風に当たりながら飲んで
いると直ぐに眠気に誘われる…
近頃グッスリ眠れなかった私は、その心地
いい眠気にそのまま身を委ねた……
ーーーーー
バスの中に小さな女の子と男の子、、
二人掛けの座席にちょこんと並んで座って
いる、、
「麗美ちゃん!今日は綿菓子いっぱい
食べるぞ♪」
「うん♪水飴も食べようね♪」
バスの中は浴衣を着た恋人達や家族連れ
がいっぱい…。
二人がバスを下りると凄い人混み…
その行列に紛れて二人は歩いて行く…
「はぐれるなよ。僕が麗美ちゃんを
守ってやる」
男の子は麗美の手をしっかり握る…
川沿いの土手を歩いて行くと、やがて的屋
の灯りと川岸に並ぶ白いテントが見えて来た…
「これで買えるだけ綿菓子くれ」
男の子は二千円をオッチャンに渡す…
「坊主、可愛い恋人連れてるなぁ。
オマケしてやるぞ…危ないから気を付け
るんだぞ…」
的屋のオッチャンは綿菓子を5個外して
二人に持たせた…
人混みから少し離れた川岸の芝生に、
綿菓子に囲まれ座る二人…
そして…
ーヒュルル~………ドンドン!…バチバチバチ…
夜空で弾けるカラフルな花火…
その光は幼い二人の顔を照らした…
水飴片手に空を見上げる麗美…
「凄いね!勇太君!見て!ドラえもん
だよ!」
麗美が横を見ると下を向き俯く勇太…
「……どうしたの?どこか痛いの…?」
心配そうに聞く…
「……僕…遠くの国に引っ越すんだ…
だから…っ…麗美ちゃんとは今日でお別れ
なんだっ…」
勇太は泣きそうな顔で言った…
ー?!!
「遠くの国……じゃあもう勇太…君と…
ヒクッ…会えない…ヒクッ…のっ…?…グスッ…
遊べない…のっ?…ヒクッ…」