《Eternal bells…… 》
第32章 色付き花火と垂れ花火
一人酒を飲む栄太…
近頃は飲む量が増えていた…。
(今夜は花火か…麗美は…今頃…)
ーチャラ…パカッ…
唯一手元に残った懐中時計…
蓋に刻まれた二人の名前を指でなぞる…
ーコンコン…!
「松里おるかぇ?」
ー!!!
僕が今一番会いとうない男の声…
「何の用じゃ…」
ースッ…
「おんし、何で桜香に本当の事言わんが?
はよ帰ってやらんと可哀想じゃき」
助五郎はズカズカと部屋に入って来た…
「何言っちょる?…お前が側に居てやれば
いいじゃろ~が。あいつが好きだから…抱
いたんだろうが…」
「あぁ、惚れちょる…だから抱いた。
でんも…桜香は俺に抱かれてないんじゃ…
俺に抱かれながらあいつはおんしに抱かれちょったんだ…悔しいけんどのぉ」
「麗美は好いちょる男にしか抱かれん…
お前の事を……あいつは…」
(意味がわからん…
自分で口にしただけで腹が立つ…
こいつは僕を馬鹿にしに来ちょるんか…?)
「おんし!やっぱり馬鹿じゃの~!
まんだ分からんのかぇ?!いく瞬間
におんしの名前叫ばれたんじゃきっ!
桜香の頭ん中ではおんしに抱かれちゅう
がよ!!俺は『代わり』だったんじゃ!」
助五郎キレた…
(まっこと腹立つのぉ~!)
ー?!!
「…………。」
(僕の名前を…?)
「まっこと悔しいけんどな!…でも…
桜香はおんししか見えちょらんぜよ。
自分が至らんから、浮気されたと思っ
ちょるが…おんしが本気でお咲に惚れた
と思っちょるぞ…?」
「そんな……」
栄太は漸くお互いの勘違いに気がついた…
「もうお咲はおらん…。桜香を幸せに
しちゃれ…じゃないと…俺は許さんぞ
…身を引いてやるんじゃきのぉ~」
(ケッ!!桜香はこの鈍感の何処がいいがじゃ!……イライラ…)
ースッ…パンッ!
ドスドスドス…!
助五郎は出て行った…
(本当に麗美は……)
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