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《Eternal bells…… 》

第6章 苦悩

年も明け、それぞれが寝床へ消えて行く、、


栄太は眠っている麗美を抱き上げ、部屋に運んだ。


寝顔を暫く見つめる、、


(麗美はどうしてここに来た?
なぁ…本当に未来に帰りたくないんか?)


栄太は麗美の髪をほどき、指で髪を遊ぶ…

栗色の長い髪は、毛先だけにくるんとカールがかかっている。白く滑らかな肌、長い睫毛、ぽってりとした桃色の唇。この時代では見た事のない、不思議な美しさに見とれる栄太…


(綺麗だな……)





文久2年も終わり、新しい年に移り変わったこの頃には、長州派の鷹司氏や、攘夷派公卿が朝廷の実権を握りつつあった。それにより、情勢は長州や攘夷志士側に傾いていた。




すっかり栄太や玄瑞達との生活に、慣れてしまった麗美は、その夜、夢を見た…


ーーーーーーーー




暗闇の静寂の中、一軒の商人宅の部屋に灯りが揺れている…
その部屋の前に、気配を消し刀を手にした男達がそろりそろりと近づく…

男達が襖の前にたどり着くと同時に、襖が音をたて一気に開かれた。

商人は驚き振り向く。


ーブシュッ

商人の首が胴から離れ、壁には血がはねた。

「行くぞ…」

一人の男が行灯に顔を近づけ、フッと火 を消した、、

一瞬見えた男の顔は……吉田栄太郎。

男達は商人の首を持ち、再び闇に消えて行った。

襖紙に、[天誅]の文字を残して、、

翌日、、河原に首が晒された。




再び麗美は暗闇に吸い込まれる、、、



旅籠の2階に大勢の男が集まり、何やら話し合いをしていた。

「古高を助け出すには、我々が壬生屯所に攻めいるしかない!火を放ち混乱に紛れてあの計画も実行するのだ!」
一人の男が興奮して言う。

「ちょっと待ってください。今はまだ動くには早すぎる。時を待つべきです」
吉田稔麿は言う。

「古高が捕らわれた以上、我々の居場所も見つかるのは時間の問題。猶予はないのだぞ?」

決着の付かない話し合いがされていると、階段の下から店主の叫び声が聞こえて来た。

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