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《Eternal bells…… 》

第7章 稔麿様

(…え……?)
急に抱き締められた私は、固まる…



「少しだけ、このまま…」
腕に力を入れた…


私を包む、栄太の腕に手を添えた…
髪に顔を埋めて、甘えている栄太に胸の中がキュッとなった…。


嬉しかった…今までは女が自分の深い所に触れようとするのを、許せんかったのに。麗美には甘えたいと思ってしまったんだ…。



「僕は家族を捨てて…苦しめちょる…」
呟く栄太…



栄太の家庭は、武士の中でも一番低い身分で貧しかった。父親一人では、家族が暮らせる程稼げない。栄太もその為に働いていた。
栄太が過去に脱藩したり家を離れた事で、家族が苦労している事で自分を責めている…。


「栄太の家族は…きっと、そんな風に思ってないよ…。栄太は国を1つにして、異国にも怯まない国にしたいんでしょ?
それで、沢山苦労してここまで来た事、一番理解してると思う…。
松陰先生の魂を受け継いでるんだよね?
栄太の努力は皆知ってるから…。
栄太が自分を責めてたら、家族が悲しむよ?」


大切な家族と、栄太の成し遂げたい事(吉田松陰の夢でもある)を選ぶのは、想像出来ない程悩んだと思う。優しい栄太だから尚更…。



抱き締めた腕を解いて、クルリと向き合う。肩に手を乗せて、腰を屈めて栄太は麗美を見つめる…


「麗美……ありがとう」

ーチュッ…

麗美の唇に軽い口付けを落とした…

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