テキストサイズ

《Eternal bells…… 》

第8章 春

ーーー


「お待たせしました」
ーパタパタ…
「蕨餅3つくださ~い」

「は~い」
「こっちにお茶くれ」
「ただ今!」
ーパタパタ…
ーーー

「今日は蕨餅売り切れちゃうかな…ズズッ…」

私はお茶を飲んで休憩中。余った甘味を持ち帰って、栄太や玄瑞さんと食べるのが最近の楽しみ。

栄太は毎日、藩邸に出向いて忙しそう。

(そろそろ下関に行くはずだなぁ…
暫く会えないなんて、初めてだし…寂しい…)

「はぁ~~~~」
と大きな溜め息をした。


「こんにちは♪」

(…ん?お客さん!)


「こんにちは♪ご注文は?」
と、麗美は普通のお客の対応。

昨日の青年の事は、すっかり忘れていた。

「今日は、貴女のお薦めを全部ください」
と、忘れられた青年は言った。


「私のお薦めですか?えっと、みたらしに、蕨餅に、餡蜜に~♪
「「焼き団子も♪」」
ハモった…。

「アハハハハハハ♪
昨日と全く同じ事言ってますよ」
と、大爆笑。

(昨日…?はて、昨日も来たのかな?)

「昨日も?言いました…か?」

「覚えて無いんですか…シュン…」

青年は酷く落ち込んで涙目で麗美を見る。

(どうしよう…泣かせちゃったよ…)

ストーリーメニュー

TOPTOPへ