《Eternal bells…… 》
第10章 八卿と恋模様
その頃、栄太は生まれの地、萩にいた。
異国船への攻撃戦などの活躍により、栄太は身分が士雇に格上げされていた。
大野家ーー
「申し訳ございません…。婚姻のお話、お受け出来ません」
栄太は額を床につけ、頭を下げる。
「君にとっては良い話だと思うが、何故そこまで頑なになるのだ?おたつに不満があるのかな?」
「いえ、私には勿体無いお相手。
しかし私には慕い、決めている相手がございます。他の女性を想いながら、おたつさんと、一緒にはなれません」
「…………本当に君は正直者だな。
わかった…決めた人と幸せになりなさい」
大野は微笑む。
「ありがとうございます……」
ーーーー
大野家を後にして、栄太は椿八幡宮へと向かった。同じ身分に同姓同名が居たため、藩から改名を言い渡されたのである。
初老の優しい顔をした神主は、さらさらと紙に筆を走らす、、、
「出来たぞ……新しい名は、
『吉田 稔麿』」
そう言い、栄太に見せた。
「吉田……稔麿………。
神主様、ありがとうございました!」
ーバッ
栄太は頭を下げてから、凄い勢いで出て行った。
「随分と、元気な若者だのぉ……フフフ」
実家に向かう道を走る栄太、、、
(稔麿は僕だったんだ…!)
早く麗美に会いたい気持ちが溢れる、、、
ドドドド……
ースパンッ
「母上!今から京に戻ります!」
「まあ、それは急ですね。旅支度をするから、お待ちなさい」
「兄上は早く麗美さんに会いたいんよねぇ~?フフフッ♪」
「なっっ///お房何を言っちょる///」
栄太はその日に京へと向かった………