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《Eternal bells…… 》

第10章 八卿と恋模様

「玄瑞、このおなごは誰だ?」
と新兵衛。

「麗美ちゃんだ。身寄りがなくてな、俺達が面倒見とる」

「可愛いじゃねぇか。俺は新兵衛だ。よろしくな」


田中新兵衛さん。優しそうで、高杉さんと雰囲気が似ている。人斬りと呼ばれる様には見えない人。
暗殺を止められて、良かった……。


「よし!成功の祝いに島原行くぞ玄瑞!今日は朝までだな♪」
と新兵衛。


(朝まで…新兵衛さんもお好きなんですね…)


「そうだな、行くか。今日は旅籠に戻らんから、麗美ちゃんは翠蓮の所に泊まってこい。頼んだぞ、翠蓮」
と玄瑞。

「ああ……わかった」


翠蓮と玄瑞さんは、最近あまり喧嘩をしなくなった。というより話しもあまりせずに、翠蓮は玄瑞さんを避けている様に見えた…。




そして、翠蓮の部屋に泊まる事に。
お風呂を出て、二人で窓際で涼んでいた、、


「翠蓮、最近、玄瑞さんと喧嘩したの?」

「してませんよ…どうしてですか?」
一瞬、表情が曇る…

「いつも、喧嘩しても一緒に居たから。最近、翠蓮が玄瑞さんを避けてる様に見えて…だから、心配になって」

「麗美様は、良く見てますね……」
月を見上げる翠蓮…


「やっぱり 避けてるの?どうして…?」

「オラは忍です。本来は感情を持つ事さえ許されない。オラは出来損ないだから、感情が無い訳では無いんです。
そんな、忍として失格なオラは、家を出されて桂殿の元に来ました…」


翠蓮から、自身の話を聞くのは初めてだった。


「家族に見放されたオラを、桂殿は受け入れ信頼してくれる。そして、玄瑞も麗美様も同じようにオラと接してくれる。

オラは、そんな皆の為に役に立ちたい。
だから、これ以上感情を持たないようにしなくてはならない。
しきたりなんですよ…」

「…でも、どうして玄瑞さんを避けるの……?」

「一番持ってはいけない感情を……
持ってしまいそうだからです……」

「持ってはいけない感情……?」

(もしかして……)

「誰かを愛しいと思う事……」



(やっぱり翠蓮は玄瑞さんが好きだったんだ…)

「どうして?どうして好きになっちゃいけないの?!翠蓮は玄瑞さんが…」

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