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第2章 彼女なりの安穏とした日々

 八桐悠理は11歳の誕生日に両親に捨てられた。

 正しく言えば置き去りにされたのだが、その場所が地域でも治安の悪さで有名な危険地区だったのだ。

 こんな場所に子供を間違えて置き去りにする親などいないだろう。

 だがしかし、両親が彼女を捨てた理由は、悠理自身もわかっていない。

 経済的な問題があったわけでも、家庭内での不和があったわけでもないのだ。

 少なくとも悠理の目にはそう映っていた、だからこそ捨てられたその日は間違ってはぐれてしまったのだろうとしか考えられなかった。

 しかし、窃盗や暴力沙汰の絶えないその地域で、一人うろつく少女を当然見逃さない連中がいた。

 そんな連中から悠理を助けてくれたのが、当時20代前半だった永井という長身の男だった。 

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