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第10章 反撃の朝
そんな千尋を冷たい視線で射抜いた後、悠理は立ち上がって茶色と白の水玉をモチーフにしたリュックサックを背負った。
「あ?お前いつもの鞄は?」
「昨日の帰り道で朽無さんにぶん投げちゃって、行方不明」
朽無という名前が出た瞬間、千尋の視線温度が急激に下がった。
先ほどの悠理に勝るとも劣らない目つきで目を訝しめた千尋は、ぼそりと「殺す、ぜってえ殺す」と低い声音で呟く。
悠理はその様子に内心頭を押さえながら「殺さないでよ、永井さんのお得先なんだから」そういって千尋に背を向けた。
――本当に嫌いなんだなあ、矢代くんは……。
「じゃあ、行ってきます」
そういって駆け出した悠理に、千尋は慌てて「気をつけろよ!」と彼女を送り出した。