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第2章 彼女なりの安穏とした日々

「いいわけねえだろ、却下だ却下」
「誰も矢代くんの意見は聞いてないよ」


 その日の夕食でのことだ。

 悠理はそう平坦な声で言いながら、自分の作った味噌汁に口を付けた。

 対して彼女の正面に座っている青年――矢代千尋(やしろちひろ)はダンッと机を叩く。

 おかずを入れている食器類がガチャリと音をたてたが、汁物がこぼれることはなかった。


「絶対に許さねえ!そんな得体の知れないやつにユウを任せられるわけないだろ、俺らの世界は疑わしきは信じず速攻で殺れが常識じゃねーか!」

「はいはい私の学校生活と矢代くんの生活を混同させないで」


 感情の一切を消したような声でそう言い放った悠理に、千尋はうっと言葉に詰まったような声を上げた。
 

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