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第2章 彼女なりの安穏とした日々

 永井の経営している便利屋には、悠理の他にも2人の同居者がいた。

 そのうちの一人が悠理のみっつ年上である矢代千尋だった。

 明るい茶髪にあまりいいとは言えない目つき、そして両耳に着けている赤いピアスが特徴的な青年だ。

 永井ほどではないが身長は180を越えており、程よく筋肉のついた爽真とは違った意味でバランスのとれた体格をしている。

 彼は4年前にここへ住みつくようになったのだが、どういうわけか悠理をいたく大切にしていた。

 ちなみに悠理自身には、特にその理由へ覚えがない。

 覚えはないものの、千尋の愛情は過保護に過ぎているうえ正直気持ち悪いのである。

 ――……あんな自室見せられたら、ドン引きするしかないって。

 そう息をつく悠理に、机の上座に座っていたオールバックの長身男が朗らかに笑いかけた。

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