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第7章 戌原西地区の便利屋


「……この男」


 悠理はその写真を見て、小さく眉を潜める。

 さすがの千尋も仕事となって態度を改めたのか、真面目な表情で口を開く。


「こいつ一年前に潰した武器屋の息子じゃねえっすか。なんでまた?」


 ――一年前、ただでさえ均衡の危ういこの戌原西地区で、大量の銃器を売りさばく武器屋が現れた。

 しかし、ひとつの勢力がもつ武器の数には程よい数量というものがある。

 この地区に潜り込んでいる武器屋たちの間では、暗黙の了解としてその程よい数値、バランスを保ち続けることが決められていた。

 そうしなければ互いの利益のケチがつき、ひとつの勢力が突出することによって西地区の均衡が崩れ去ってしまう。

 日本国内でも片手で数えられるほどしかない武器流通の盛んなこの地区で、面倒事を起こされては商売あがったりというわけだ。

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