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第8章 「俺だけだ」


 その後、千尋は学校にも行かず両親を探し回った。

 警察には相手にされず、学校の先生はまともに取り合ってくれなかったのだ。

 両親はまともな親戚関係も築いていなかったため、そういう方面で探し当てることもできなかった。

 信用のおけると思っていた大人に裏切られ続けた千尋はもう自分しか頼れる人間はいないと思い込むようになった。

 ――本当は借金なんて話はウソなのかもしれない。

 自分は両親に愛されておらず、ただ捨てられただけなのかもしれない。

 両親を探して2週間もした頃には、そんなことまで考えるようになった。

 そのうち家に残されていた金品の類は底をつき、社会から徐々に排除されていった千尋は、自分と同じような人間の集まる戌原西地区へと足を向けた。

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