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第9章 愛情の欲情

「ユウのやつ……ネクタイどこに置いてるんだ?」


 デスクの前に腰かけながら、千尋はそう小さく呟く。

 千尋には悠理が就寝してから必ず行っていることがあった。

 悠理のネクタイに仕込んでいる超小型の盗聴器からデータを拾い、悠理が一日どう過ごしていたのかを確認すること。

 そして、その内容次第では悠理に害があると思った人間を『排除』するのが千尋の習慣だった。

 特に最近生徒会関係の人間、中でも生徒会長だという男の声がやたらと録音されているのだ。

 そろそろ頃合いだろうかと間を図っていた中での今日。

 いつもはブレザーと一緒にハンガーへつるされているネクタイが、どこにもない。

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