テキストサイズ

アルカナの抄 時の掟

第9章 「審判」正位置

「知ってた?レイミエには、最高のサウナ施設があるの。私もよく通ってたんだけど、あの技術は本物だと思うね。…あ、そういえばさ。サウナって、“ハゲ”にいいらしいじゃん~?」
ニヤつきながら言う。半分でまかせだった。

「……で?」
青筋を立て、わなわなとさせる国王。激昂しそうなのを、必死に抑えている。

「もし、レイミエと不戦協定を結んでくれるなら!なな、なんと!ヴェルテクスの国王さまを~!レイミエのサウナに~!招待しちゃいま~っす!!」

「不戦協定…だと…?」

「だって、うちだってヴェルテクスに“匹敵する”ほどの力を“秘めてる”けど、できれば戦いたくないじゃん?怪我人も死者も出るの嫌だし。だったら、“同じような力を持つ者同士”が、仲良くしてもいいんじゃないかな?」

「…確かに、お前たちを敵に回すのは得策ではないようだな」
国王が静かに言った。怒りでわずかに声が震えていた。

「それで?返答は?」

「いいだろう。我が親族を返すことと、そのサウナとやらとの引き換えに、レイミエと不戦協定を結んでやる。それも100年間だ!」

「本当!?」

「それだけじゃない!少なくとも俺がこの座にいる間は、同盟も結んでやる!!これで満足か!!」
国王が感情に任せ、高らかに宣言した時。


「…その話、本当ね?」

突然降ってきた、女性の声。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ