アルカナの抄 時の掟
第10章 「世界」正位置
教室の机で、ぼんやりとする。片ひじをついている自分に気がつき、行儀が悪いと怒られる、と思ったところで、思い出す。…そうだ、ヴェキさんはいないんだ。
と、友人が一人、登校してきた。おはよう、と友人が言った。私は無理やり笑顔をつくり、おはようと返す。
「…カオル、どうしたの?珍しいね。あたしより早いなんて」
「うん。まあね」
「それに、なんか元気ないし」
先生に怒られて落ち込むなんてことは今さらないだろうし、と友人。
その一言で、私は気づく。…ばかみたい。そうだよ…ここでは、あれからそんなに経ってないんだ。昨日の夜も普通にメールしてたし、突然私が落ち込んでたら、みんなにはおかしいよね。
「ちょっと寝足りなくてねー」
納得してくれたのか、友人は笑いながら自分の席へ向かった。
夢でも見ているような気分。ううん、夢を見ていたのかな。でもなんだか、あまりに長い夢だったから…現実が、現実に思えないよ。
何かが足りない。っていうより、すべてが足りない。これじゃない。この世界じゃない。私は、なんでここにいるんだろう…。
ふわふわと変な感じのまま、その日の授業は終わった。
と、友人が一人、登校してきた。おはよう、と友人が言った。私は無理やり笑顔をつくり、おはようと返す。
「…カオル、どうしたの?珍しいね。あたしより早いなんて」
「うん。まあね」
「それに、なんか元気ないし」
先生に怒られて落ち込むなんてことは今さらないだろうし、と友人。
その一言で、私は気づく。…ばかみたい。そうだよ…ここでは、あれからそんなに経ってないんだ。昨日の夜も普通にメールしてたし、突然私が落ち込んでたら、みんなにはおかしいよね。
「ちょっと寝足りなくてねー」
納得してくれたのか、友人は笑いながら自分の席へ向かった。
夢でも見ているような気分。ううん、夢を見ていたのかな。でもなんだか、あまりに長い夢だったから…現実が、現実に思えないよ。
何かが足りない。っていうより、すべてが足りない。これじゃない。この世界じゃない。私は、なんでここにいるんだろう…。
ふわふわと変な感じのまま、その日の授業は終わった。