アルカナの抄 時の掟
第2章 「愚者」逆位置
顔はよく見えないが鞄を持った男が人混みをかき分けていくのが見え、あわてて追いかける。
「ちょ…っ!待てぇええ」
携帯だけは…っ!携帯だけは返して!
人の間をぬうようにして必死に前へ進もうとするが、なかなか距離は縮まらない。
「誰か…鞄取り返してーー!!!」
カオルの叫びに気づいた人々がちらほらと顔を向ける。
だが既に男は遠くまで行っており、果てには見失ってしまった。
「うそぉお…」
絶望の言葉を吐き出すと、泣きそうになりながら人混みをかき分ける。やっと人の群れから抜け出すと、アルバートが立っていた。
「どこにいたのー?」
アルバートが言った。
「それはこっちのセリフ…って、あれ?」
アルバートの手には、先ほど奪われたてホヤホヤの鞄があった。
「とれそうだったからとってみた。やっぱりカオルのだったんだ」
叫び声を聞いて振り返ったら、カオルが後ろにおらず代わりに鞄を持った男が走ってきたという。
「あ…ありがとう」
とってみたって…。
奪い返したてホヤホヤの鞄を受け取ると、カオルは再び歩き始める。と、アルバートがカオルの手をとり、カオルは足を止める。
「カオル、手をつなごう」
アルバートが笑顔を向ける。カオルが手を握り返すのを確認すると、満足気に歩き出した。
「ちょ…っ!待てぇええ」
携帯だけは…っ!携帯だけは返して!
人の間をぬうようにして必死に前へ進もうとするが、なかなか距離は縮まらない。
「誰か…鞄取り返してーー!!!」
カオルの叫びに気づいた人々がちらほらと顔を向ける。
だが既に男は遠くまで行っており、果てには見失ってしまった。
「うそぉお…」
絶望の言葉を吐き出すと、泣きそうになりながら人混みをかき分ける。やっと人の群れから抜け出すと、アルバートが立っていた。
「どこにいたのー?」
アルバートが言った。
「それはこっちのセリフ…って、あれ?」
アルバートの手には、先ほど奪われたてホヤホヤの鞄があった。
「とれそうだったからとってみた。やっぱりカオルのだったんだ」
叫び声を聞いて振り返ったら、カオルが後ろにおらず代わりに鞄を持った男が走ってきたという。
「あ…ありがとう」
とってみたって…。
奪い返したてホヤホヤの鞄を受け取ると、カオルは再び歩き始める。と、アルバートがカオルの手をとり、カオルは足を止める。
「カオル、手をつなごう」
アルバートが笑顔を向ける。カオルが手を握り返すのを確認すると、満足気に歩き出した。