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アルカナの抄 時の掟

第2章 「愚者」逆位置

「あまりかしこまらないでくださいな。わたくし、あなたと仲良くなりたいと思っておりましたの!是非お友だちになってくださいな」

「私でよければ…」

「せっかくですから、今お時間よろしければ、お茶しませんか?」

「は、はあ…」

…なんでお嬢様とかって、すぐお茶したがるんだろう。

「よかった。ではわたくしの部屋へご案内しますわね」
無邪気に微笑むと、くるりと向きを変え、歩いていく。カオルもそれについていった。

…なーんか、毎回流されてる気がするなあ。


セレナの私室は、離れの一角にあった。セレナの一家は皆この辺りに自室を持っているそうだ。
中へ通され、窓際に置かれたテーブルへと促される。そこに座ると、ポットを持ったセレナもゆっくりと腰かけた。

「ごめんなさい、運悪く今、人が全員出払ってますの。わたくしのお茶でご勘弁くださいね。…とは申しましても、先ほど用意させたものをいれるだけですけど」
いたずらに微笑むと、セレナはカオルのカップにポットのお茶を注いだ。

「ありがとうございます」

向かいに座るセレナは、いかにもなお嬢様ではあったが、年齢はカオルとあまり変わらないように見えた。

「カオルさま。…やっぱりお互い敬語はやめませんか?お友だちですもの、自然にお話しましょう」

「…わかった。でもそれなら、私のことカオルさまって呼ぶのも、なんか変な感じ」

「はい!ではこれからは、カオルさん、って呼ぶわね、カオルさん」

いや、呼び捨てでかまわないんだけどな…。まあいいや。

改めてよろしくね、と互いに言葉を交わすと、カオルが、ねえ、と切り出した。

「セレナさんっていくつなの?」

「16よ。カオルさんは?」

「もうすぐ18」

「そうなの」
セレナは目を丸くした。

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