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アルカナの抄 時の掟

第3章 「女帝」正位置

「あん…ん、はあん…」
抑えようとするが、動いてしまう。カオルが動けば、アルバートのものがやんわりと刺激される。

「ふ…かわいい」
さらに、左手で小さな突起をいじる。

「バカッ…!あっ…」

突起を指先で転がすと、カオルは少し違った反応を見せた。

「愛してる」

「あっ、ん…っはあ…あっ」
無意識か、カオルはアルバートの手に触れる。
アルバートは手を止め、もう一方の手をさらに重ね、包んだ。

「また、続きやろうね」

「はあ…はあ…。…やんない!」
振り返ったカオルの顔は、どこかもの足りなさそうだった。

「…名残惜しい?」

「ばかっ」
カオルが離れ、バシリとアルバートの頬を叩いた。と、アルバートは反対の頬を向けた。

「キリストかっ!」
カオルは、ふん、と浴室を出ていった。





夜になり、アルバートとカオルの部屋では、押し問答が繰り広げられていた。

「カオル~」

「やだ」
カオルはソファーで毛布をかけ、横になっていた。

「ベッドで一緒に寝ようよ~」

「やだってば」
なにするかわかんないんだもん、とアルバートに背を向けた。

「夫婦なのにぃ」
口をとがらせる。

「じゃあさ。教えてよ」
カオルがアルバートに顔を向けた。

「なにを?」
きょとん、とするアルバート。


「なにか隠してるでしょ?」

ええ~、とアルバートが茶化すが、カオルは真剣な顔をゆるめなかった。

「私、こういうの敏感なんだよね。…この前も言ったけど、あなた、本当は賢い人でしょ。この結婚も、なにか考えがあってのことじゃないの?」

「うん。カオルと一緒にいたいと思ったから」
アルバートがニコニコとそう言うと、カオルは、はあ、とため息をついた。

「もういい」
吐き捨てるように言い、寝息をたて始めた。

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