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アルカナの抄 時の掟

第3章 「女帝」正位置

ガチャリ、とドアノブを回す。扉を少しだけ開けて、部屋をのぞき込むと、テーブルに伏した姿が見えた。

中へ入り、近づくと、カオルはシャーペンを握ったまま、二冊のノートを広げた上で寝息をたてていた。

ノートを見ると、表紙の裏に『一、まず計画せよ、二、すべてに余裕を持つ、三、落ちついて行動』と書かれていた。

その横、ノートの一ページ目に、勉強していたらしき跡があった。もう一冊のノートは、先ほどヴェキの言葉を書き取っていたノートのようだ。それを書き写していたのだろう、一行だけ書いてある。『レイミエ帝国』とあった。

「寝るの早すぎ~」
アルバートはくすくす笑うと、カオルにかかっていたタオルケットを肩までかけ直した。

カオルの頬に口づけを落とし、アルバートは部屋を出ていった。





気がつけば、日は落ち、オレンジ色の光が窓から差し込んでいた。

「ん……」
むくりと起き、顔を上げる。

結構寝ちゃったんだ…。

「おはよう」
アルバートがベッドに座り、笑んでいた。

「…いつきたの?」

「ついさっきだよ」

「ふうん」

「お風呂入ろうか」

「うん」

「一緒に?いいの?」

「タオルは巻いていくけどね」

「じゃあ行こう」
嬉しそうに、アルバートがカオルの手をとる。

「待って。着替えもなにも持ってない」
着替えとタオルを抱え込むと、アルバートに引っ張られながら、バスルームへ向かった。

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