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アルカナの抄 時の掟

第5章 「皇帝」正位置

首筋に口づけを落とす。びく、と微かに反応するカオルが愛しい。

アルバートの右手が、胸元に滑り込んできた。まずはその滑らかな肌触りを確かめるように、そっとやわらかな肌を撫でた。

「ん……」

アルバートの優しい手つきが、心地よかった。

続いて、左手も侵入してくる。ふにふに、と感触を楽しむようにゆっくりと胸を揉まれ、思わず甘い声が漏れる。

「んん…」

「カオル…愛してるよ」

一方を揉みしごきながらもう一方の先端をつまむ。と、カオルが身をよじり、「あっ」と小さく声を漏らす。もう一度聞きたくて、今度は少し強めにつまんだ。

「んあっ!」

左手で弾くようにして遊びながら、右手を静かに離した。そっと下へと運び、スカートの中へ侵入する。すりすり、と太ももに這わせると、ふいにカオルの手がそれを止めた。

「…下は許可してない」
だんだん股の方へ来ているのに気づいたカオルが、ぶすっと言った。

「…だめ?」
懇願するようにアルバートが耳もとでささやいた。

…その声はずるい。

カオルはつかんでいた手をそっと離した。

「いいの?」
触れていた手を離してアルバートが確かめる。と、カオルは返事の代わりに、行き場を失ってさまようアルバートの手をつかみ、静かに自分の太ももの上へ戻した。

ふ、と笑うと、アルバートは再び太ももを撫で始める。が、中心へたどり着く前に手を止めた。

「やっぱり、また今度に取っておくよ」
手を抜き、頬に口づけを落とす。

ここにきてお預けをくらったカオルが、不満げな目を向けた。

「今さらなんでよぉ…」

「ゆっくりと、ね」
なだめるように言うと、愛しげに目を細めた。そっと腕を回し、カオルを包み込む。その優しい手つきから、どれほど大事にしてくれているのか、伝わってくる。

「明日も…していいよ」
照れと嬉しさを誤魔化すように、むすっと言った。

結局、それ以上の進展はなく、その日は終わった。

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