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アルカナの抄 時の掟

第6章 「月」正位置

「調、子に…乗るなあっ…!」
カオルがもう一度、男の手から逃れようともがく。男は無駄だとばかりに、がっしりとカオルの腰を捕まえて固定すると、触れるか触れないかの微妙な加減で割れ目をなぞった。

「あっ…んん」

そしてまた、突起をパンツの上から刺激する。

「んうっ…はあん…」
抵抗する力を失い、再び嬌声をあげ始めた。男の手を振りほどこうにも、力が入らない。

「ああ、ん……」

「もう抵抗しないの?」
男がくつくつ笑う。


……と。



「…アルバ……ト……」
無意識か、愛しいひとの名を呼ぶ。

と、パンツの中に入れようとしていた男の手が、ピタリと止まる。胸を弄っていた手も、動きを止めていた。

その隙に、カオルが男の手からするりと抜ける。

「……あ」

「は、あ…はあ…っ」
乱れる息を整えながら、ずらされたブラジャーを元に戻す。振り返ると、キッ、と潤んだ瞳で相手をにらんだ。

「怖い顔してるつもりだろうけど、そんな瞳でにらまれても煽ってるようにしか見えないよ」

悪びれる様子が微塵も見受けられない男に、カオルは無言でにらみ続ける。

「あんなに感じてたくせに。それとも、まだご不満?本物挿れてほしかった?」
優雅で美しい見た目に反し、この男は中々下品なことを言う。

カオルはぐっと真一文字に食いしばり、さらに眉間にしわをよせて鋭くにらむと、男の頬を思い切りひっぱたいた。


バシン、と結構な音が響きわたる。

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