
アルカナの抄 時の掟
第7章 「恋人」逆位置
「カオルを守るためなんだ。ごめん、これ以上は本当に言えない。…わかってほしい」
カオルは言い返さなかったが、まったく納得できていなかった。諦めて、納得したふりをしたのだ。
「だけど、召集には参加できない。したくない…」
目をそらしたカオルがそう言うと、アルバートはうなずいた。
「…欠席って言っておくよ。内容は、あとで誰かに伝えさせる」
わがままを言っているということは、カオルにもわかっていた。感情的な行動を取っていることも自覚していた。だが、止められなかった。
「…じゃあ」
目をあわさないまま、カオルがきびすを返す。アルバートの顔の位置からは、その表情はうかがい知れなかった。
とっさに、カオルの手をつかむ。びくりとして振り向くカオル。
「……なに?」
正直、少し期待をした。だがアルバートは、「なんでもない」と、あっけなくその手を離した。カオルにはそう見えた。
二人は、もう言葉を交わさなかった。
ヴェキが皇帝の間へ着くと、まだ何人かの臣下が来ていないようだった。右大臣はすでに来ていた。しばらくしてカオル以外の全員が揃い、アルバートが口火を切った。
「早朝にすまない。みんなに重要な報告があるんだ」
そう言うアルバートの顔は…また無表情だった。
一方、右大臣を見ると、気のせいだろうか、口許をわずかにあげている。
「僕は、第二の妃を迎えることにした」
ヴェキは、驚いて主を見た。それについては、一言も聞かされていなかった。だが、第二皇妃をめとる理由は、だいたいの見当がついている。…相手の女性についても。
「…いったい、どなたを?」
おそらく彼女だろうと思いながらも、ヴェキが尋ねた。
カオルは言い返さなかったが、まったく納得できていなかった。諦めて、納得したふりをしたのだ。
「だけど、召集には参加できない。したくない…」
目をそらしたカオルがそう言うと、アルバートはうなずいた。
「…欠席って言っておくよ。内容は、あとで誰かに伝えさせる」
わがままを言っているということは、カオルにもわかっていた。感情的な行動を取っていることも自覚していた。だが、止められなかった。
「…じゃあ」
目をあわさないまま、カオルがきびすを返す。アルバートの顔の位置からは、その表情はうかがい知れなかった。
とっさに、カオルの手をつかむ。びくりとして振り向くカオル。
「……なに?」
正直、少し期待をした。だがアルバートは、「なんでもない」と、あっけなくその手を離した。カオルにはそう見えた。
二人は、もう言葉を交わさなかった。
ヴェキが皇帝の間へ着くと、まだ何人かの臣下が来ていないようだった。右大臣はすでに来ていた。しばらくしてカオル以外の全員が揃い、アルバートが口火を切った。
「早朝にすまない。みんなに重要な報告があるんだ」
そう言うアルバートの顔は…また無表情だった。
一方、右大臣を見ると、気のせいだろうか、口許をわずかにあげている。
「僕は、第二の妃を迎えることにした」
ヴェキは、驚いて主を見た。それについては、一言も聞かされていなかった。だが、第二皇妃をめとる理由は、だいたいの見当がついている。…相手の女性についても。
「…いったい、どなたを?」
おそらく彼女だろうと思いながらも、ヴェキが尋ねた。
