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sex? or die?

第4章 Sector 4:Deth

中国人投資家とのやりとりはすべてヤタベに任せていたため、その後の状況がまったくつかめない。

ヤタベは俺から受け取った金を手にしたままフィリピンに渡り、死んだ。

持って行ったキャッシュは行方不明。俺に与えられた情報はそれだけだった。

それだけの情報から俺はこの先何をすべきかを判断しなければならなかった。

命とは引き合わない額のキャッシュに振り回され、
いろいろあがきながら、いろんなものを抱えながら、
どこにどう逃げるか、どうやって逃げ切るかばかりを何ヶ月も考え、
そろそろ疲れ果てた頃に俺はネットのなかで彼女と出会った。

俺が暇つぶしでつくっていたコミュニティーのシステムのユーザーだった彼女は、
俺がそんな状況に疲れ果てて、コミュニティーの管理人として毒吐いてるときに、

「これみて癒やされるなう?」
ってメッセージと共に、自分の写真を添付してダイレクトメッセージしてきた。

そう、彼女はなぜかいきなり自分で撮影した自分の写真を送りつけてきたのだ。一枚目は顔出しでにっこりほほえんだ写真。

2枚目は、下着姿。そして3枚目は乳首こそ隠していたけど、全裸。

いやまて、と俺はそれを見てにわかには信じない。

コミュニティーがらみで多少のやりとりはあったものの見ず知らずの相手にこんな写真を送りつけてくるわけ無い。

普通ならあり得ない行為にびっくりし、
どうせどこからか拾ってきた芸能人の写真だろうと思って類似画像検索してみたが、ひっかからない。

その後も定期的に「今撮った〜」というようなコメントと共に送られてくる彼女の笑顔に、
気づかないうちに俺は取り込まれてしまっていた。

状況がそうさせたのか、運命がそうさせたのかはわからないし、どうでもよかった。

殺伐とした時間を過ごしていた俺にとって、
天真爛漫な彼女の笑顔と、テキストのやりとりは、
生きていく上で無くてはならないものとなってしまっていた。

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