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対峙

第4章 episode 3

部屋で一人考えていた。
澤村に対する疑念が晴れて良かったじゃないか。
何も変わらない。
今まで通りだ。
携帯電話のディスプレイに目をやる。

――小林光彦

サイレントモードにしているから電話が鳴っているのに気づかなかった。

「光彦…」

何故だか取る気になれない。
ボクは青白く光るディスプレイを眺めたままだ。
本当は、光彦に犯人さがしを提案された時から心が乱れていた。ボクは気づかないフリ。
ボクの中ですぐ澤村の顔が浮かんだ。
本心では澤村が嘘をついていても良かった。
根拠はないけど、いっそ犯人で良かった。
ボクの中では決まっていたことだから。

ボクはどうしたら――

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