対峙
第7章 episode -
「…ボクを…自由に?」
幼心に光彦なら自由にしてくれると確信してしまった。
理由なんてない。
あえて挙げるならば、それは光彦だから。
「せいじ、お家に連れて行ってよ。今日は日曜日だからお父さんいるでしょ?」
「うん…」
光彦を家に連れて行ったら父親に打たれないだろうか。
ボクはそればかり心配していた。
せっかく出来た友達だったから。
「心配しないでせいじ。ぼくはせいじがいれば大丈夫だから」
「そっか…わかった」
ボクは光彦に頼られている。
そう思えば自然と不安は消えていた。