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偽装結婚~代理花嫁の恋~

第6章 ★Sadness~哀しみ~★

由梨亜」
 初めて彼に呼び捨てにされ、由梨亜の身体に弱い電流が走った。
 三鷹は由梨亜を抱き上げると、そのまま自分の寝室へと運んでいく。
 壊れ物を扱うようにダブルベッドに降ろされた。由梨亜が彼の寝室に入るのはこれが初めてだ。彼の部屋に入る初めての日が、彼に抱かれる最初の夜になるとは考えだにしなかった。
 三鷹の顔が近づいてくる。口づけの雨を降らしながら、三鷹の指は巧みに動いた。由梨亜の着ていた丈長のシャツブラウスのボタンを器用に外していった。
 清楚な白のレースのブラが持ち上げられ、由梨亜の大きな胸が現れた。三鷹は魅入れられたようにその魅惑的な光景を見つめる。
「何て綺麗なんだ」
 豊満なふくらみの先端は淡い桜色の蕾がひそやかに息づいている。羞恥とかすかな興奮のために白い肌が染まり、息づかいが荒くなって豊かな胸は彼を誘うように大きく上下していた。
 三鷹の口がその可憐な突起をすっぽりと含んだ瞬間、由梨亜の口から、あえかな声が洩れる。
「ずっと夢に見ていたんだ。君をこうして腕に抱くのを」
 熱く濡れた声が由梨亜の耳に注ぎ込まれる。
「由梨亜、大好きだよ。愛している」
 男の長い指が由梨亜の胸の先端に輪を描く。揉んだりキュッと押される度に、由梨亜の身体に例の感覚―妖しい震えが走ってゆく。喩えるなら身体の中で幾千もの蝶がはばたくようなその感覚は、三鷹の愛撫が激しさを増してゆくにつれ、強まっていった。
 三鷹が熱い唇で由梨亜の身体のあちこちを辿り火を点してゆく度に、蝶は一匹、また一匹と増え、騒がしく彼女の中で飛び回る。
 やがて、三鷹が身体中に点した小さな火は一つの大きな焔となり燃え上がり、由梨亜を身体ごと飲み込んで灼き尽くすのだ。そして、由梨亜の胎内で騒がしく羽ばたいていた無数の蝶たちもその焔に灼かれ、敢えなく力尽きて地に堕ちる。
 最後にひときわ大きく焔が燃え上がった瞬間、由梨亜は鋭い叫び声を放ちながら、極まった。生まれて初めて経験したその痛みは身体を裂かれるような責め苦にも等しかったけれど、同時にこの上なく魅惑的で甘い責め苦でもあった。

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