偽装結婚~代理花嫁の恋~
第6章 ★Sadness~哀しみ~★
「私には判りかねますが」
「秘書課長の君が知らないはずはない。しかし、まあ、それはこの際、どうでも良い。社長には私からきっぱりと断っておくから、君は頭取が縁談の話を匂わせても一切、乗るな。その件については、後日、社長から正式な返事があるだろうと伝えてくれ」
「承知いたしました」
「私は四時からの企画会議が終わり次第、今日は退社する。そのつもりでいてくれ」
「はっ、畏まりました」
第一秘書は深々と頭を下げ、プリンスは既に待ち受けていた黒塗りの専用車に乗り込んだ。プリンスのために第一秘書がさっと後部のドアを開け、自分も続いて反対側から乗り込む。
やがて、若き副社長と忠実な秘書を乗せた高級車は賑やかな町の中心部へと走り去っていった。
「秘書課長の君が知らないはずはない。しかし、まあ、それはこの際、どうでも良い。社長には私からきっぱりと断っておくから、君は頭取が縁談の話を匂わせても一切、乗るな。その件については、後日、社長から正式な返事があるだろうと伝えてくれ」
「承知いたしました」
「私は四時からの企画会議が終わり次第、今日は退社する。そのつもりでいてくれ」
「はっ、畏まりました」
第一秘書は深々と頭を下げ、プリンスは既に待ち受けていた黒塗りの専用車に乗り込んだ。プリンスのために第一秘書がさっと後部のドアを開け、自分も続いて反対側から乗り込む。
やがて、若き副社長と忠実な秘書を乗せた高級車は賑やかな町の中心部へと走り去っていった。