偽装結婚~代理花嫁の恋~
第6章 ★Sadness~哀しみ~★
「加えて最初は偽装結婚を一つの契約と考えていたしね。俺自身の個人的な情報については一切相手に明かさない方がお互いに契約終了後に後腐れがなくて良いと考えた」
それは嫌で堪らない仕事を強いられて、仕方なく片付けようとしているような口調だった。
「なるほどね。流石に伝説のプリンスが考えそうなことだわ。どんな些細な事にも感情を動かされない冷徹非情な氷のプリンス。もしくは、夜毎、美しき花たちの間を漂う気まぐれな蝶のように大勢の愛人たちを侍らせている女好きの御曹司」
由梨亜がわざと明るすぎる声で言う。
三鷹が眉をつりあげた。
「それは、もしかして俺のこと?」
由梨亜が微笑んだ。
「あなたが思い出せないようだから、私が代わりに言ってあげただけ」
瀕死の企業を奇跡的に復興させる凄腕のビジネスマン、奇蹟のプリンスには常に華やかな噂がついて回った。
もちろん、単に有能な辣腕ビジネスマンというだけではなく、取引を次々と纏め会社を建て直す手腕を発揮させる裏では、かなり強引なやり方を押し通すとも、法律に触れるギリギリのきわどいところまで―つまり一歩間違えば犯罪になりかねないような方法を取ることもあるとか。
プライベートに関しては、より派手な噂が常に飛び交っていた。世界中の美女を集め、大邸宅にハーレムを作っており、夜毎、王さまのようにその複数の女たちと濃密な夜を過ごしている。もしくは、これまで関係してきた美女の数は数十人に上り、仕事で出かける海外の至る所に愛人を囲っている。
―プリンスは色事に愛や気持ちを求めない。女は彼にとって単なる欲望の捌け口でしかないのだ。
それが世間でのミラクル・プリンスに対する共通した認識であった。二十六歳の若さで生きながら伝説と化した彼については、実のところ、様々な憶測だけが取り沙汰され、真の姿について知る者は少なかった。
「君は何か誤解しているようだ」
「何を誤解しているというの?」
三鷹は何かに耐えるような眼で言った。
「俺は世間でいわれているような多情な男でも、冷血なだけの仕事人間でもない」
「でも、噂の一部は真実なのよね?」
それは嫌で堪らない仕事を強いられて、仕方なく片付けようとしているような口調だった。
「なるほどね。流石に伝説のプリンスが考えそうなことだわ。どんな些細な事にも感情を動かされない冷徹非情な氷のプリンス。もしくは、夜毎、美しき花たちの間を漂う気まぐれな蝶のように大勢の愛人たちを侍らせている女好きの御曹司」
由梨亜がわざと明るすぎる声で言う。
三鷹が眉をつりあげた。
「それは、もしかして俺のこと?」
由梨亜が微笑んだ。
「あなたが思い出せないようだから、私が代わりに言ってあげただけ」
瀕死の企業を奇跡的に復興させる凄腕のビジネスマン、奇蹟のプリンスには常に華やかな噂がついて回った。
もちろん、単に有能な辣腕ビジネスマンというだけではなく、取引を次々と纏め会社を建て直す手腕を発揮させる裏では、かなり強引なやり方を押し通すとも、法律に触れるギリギリのきわどいところまで―つまり一歩間違えば犯罪になりかねないような方法を取ることもあるとか。
プライベートに関しては、より派手な噂が常に飛び交っていた。世界中の美女を集め、大邸宅にハーレムを作っており、夜毎、王さまのようにその複数の女たちと濃密な夜を過ごしている。もしくは、これまで関係してきた美女の数は数十人に上り、仕事で出かける海外の至る所に愛人を囲っている。
―プリンスは色事に愛や気持ちを求めない。女は彼にとって単なる欲望の捌け口でしかないのだ。
それが世間でのミラクル・プリンスに対する共通した認識であった。二十六歳の若さで生きながら伝説と化した彼については、実のところ、様々な憶測だけが取り沙汰され、真の姿について知る者は少なかった。
「君は何か誤解しているようだ」
「何を誤解しているというの?」
三鷹は何かに耐えるような眼で言った。
「俺は世間でいわれているような多情な男でも、冷血なだけの仕事人間でもない」
「でも、噂の一部は真実なのよね?」