
偽装結婚~代理花嫁の恋~
第2章 ★A women meets a man ★
「だって、事実、そのとおりなんでしょう」
三鷹は呆れたといわんばかりに肩を竦め、首を振った。
「マ、良いか。ところで、これは要るよね?」
三鷹が続いて差し出したのは、少し大きめの茶封筒である。
「今度はなに?」
いささか警戒を込めた視線を向けると、三鷹は笑った。
「俺たちの記念すべき結婚式の写真」
由梨亜は即答した。
「要らないわ、そんなもの」
「君の方こそ、酷い女だな。そこまで露骨に拒絶されたら、俺が傷つくなんて思わない?」
「真実を言い当てられて傷つくくらいなら、初めから、そんな風に堕落しなければ良いのよ」
肩をそびやかして言ってやる。
と、三鷹がクックッと腹を抱えて笑い出した。
「堕落って、君は俺が一体、何だと思ってるんだ?」
「フリーター? もしくは売れないホストってところ?」
どう? と言外に図星だろうと少し得意げに相手を見つめる。
しかしながら、三鷹は笑い転げているばかりである。その実に癪に障る笑いはしばらく続き、由梨亜は憮然としてそんな彼を見つめていた。
「俺がホスト、ホストねぇ。今まで色んなことを言われたけど、流石にホスト呼ばわりされたのは、これが初めてだ」
眼には涙すら浮かべて笑い続けている。
「だって、平日のど真ん中にこうして暇を持て余しているってことは、フリーターかホストくらいのものでしょ。それに、あなたの女の口説き方は一朝一夕では身につかないわ。その道のプロでもない限り」
最後の科白は口にするのもおぞましいと言わんばかりだ。何で、こんな男のことをただのひとときでも思いやりがあるとか思慮深いとか考えたのだろう。とんだ見当違いだ。
「そういう君だって、平日のど真ん中に模擬披露宴の代理花嫁なんてやってるんだから、お互い様じゃないか」
「仕方ないでしょ。会社をクビになったから、仕事を選んではいられなのいよ」
「会社をクビ? どこの会社なの?」
「あなたには関係ない!」
そう言ってから、どうせ、ゆきずりの軽薄な男に何を言おうが、たいしたことはないと半ば自棄(やけ)になって口走った。
三鷹は呆れたといわんばかりに肩を竦め、首を振った。
「マ、良いか。ところで、これは要るよね?」
三鷹が続いて差し出したのは、少し大きめの茶封筒である。
「今度はなに?」
いささか警戒を込めた視線を向けると、三鷹は笑った。
「俺たちの記念すべき結婚式の写真」
由梨亜は即答した。
「要らないわ、そんなもの」
「君の方こそ、酷い女だな。そこまで露骨に拒絶されたら、俺が傷つくなんて思わない?」
「真実を言い当てられて傷つくくらいなら、初めから、そんな風に堕落しなければ良いのよ」
肩をそびやかして言ってやる。
と、三鷹がクックッと腹を抱えて笑い出した。
「堕落って、君は俺が一体、何だと思ってるんだ?」
「フリーター? もしくは売れないホストってところ?」
どう? と言外に図星だろうと少し得意げに相手を見つめる。
しかしながら、三鷹は笑い転げているばかりである。その実に癪に障る笑いはしばらく続き、由梨亜は憮然としてそんな彼を見つめていた。
「俺がホスト、ホストねぇ。今まで色んなことを言われたけど、流石にホスト呼ばわりされたのは、これが初めてだ」
眼には涙すら浮かべて笑い続けている。
「だって、平日のど真ん中にこうして暇を持て余しているってことは、フリーターかホストくらいのものでしょ。それに、あなたの女の口説き方は一朝一夕では身につかないわ。その道のプロでもない限り」
最後の科白は口にするのもおぞましいと言わんばかりだ。何で、こんな男のことをただのひとときでも思いやりがあるとか思慮深いとか考えたのだろう。とんだ見当違いだ。
「そういう君だって、平日のど真ん中に模擬披露宴の代理花嫁なんてやってるんだから、お互い様じゃないか」
「仕方ないでしょ。会社をクビになったから、仕事を選んではいられなのいよ」
「会社をクビ? どこの会社なの?」
「あなたには関係ない!」
そう言ってから、どうせ、ゆきずりの軽薄な男に何を言おうが、たいしたことはないと半ば自棄(やけ)になって口走った。
